情報伝達の会話ならまだしも、想いや気持ちを共有したいときの会話で「ながら聴き」をされてしまうと、会話の質が下がり、雰囲気にも暗雲が立ち込めます…。
「この人に話そう!」と思って始まった会話なのに、そんな結果になるのは残念です。
今回はそうならないためにどんなことができるのか?をまとめてみますね。
「ながら聴き」で損をしないために
話しかけた最初の反応が会話の流れを作る
相手が「ねぇねぇ」と話しかけてきたときにする、聴き手の最初のリアクションは、その後の会話の流れに思いのほか大きな影響を与えます。自分が話し手になった場合に、最初から相手が不機嫌だったときと、感じよく反応してくれたとき。その両方のパターンをイメージすると分かりやすいと思います。
では、会話の冒頭でプラスできることを見てみましょう。
(1)返事をする+相手の方を見る
まずできるのは、この「返事をする」と「相手の方を見る」ということ。あまりにも簡単すぎて、「え?そんなこと?」と思うかも知れませんね。…私も書いていてそう思います(笑)
でも、実は聴くときには結構重要なことだな~と実感しています。
聴いてほしいことがあって「ねぇねぇ!」と相手に話しかけたのに、無反応だったり、生返事で全然違う方を見ていたり…相手がのっけからそんな反応だったら、話したいという意欲が下がりますよね。
反対に、「なに~?」とか「はーい」とか言いながら相手の方を見てあげると、最初の段階で“あ、この人に話しかけてよかった”と思ってもらえる確率が上がります。
以前こんな話を聞きました。職場で上司に相談するとき、上司の最初のリアクション1つで、部下の話す気持ちが左右されると。
仕事だから上司が感じ悪くても話さなきゃいけないこともあるんですが、やっぱり感じ悪い上司だとささいなことは相談しにくいもの。信頼関係も築きにくくなります。
さらに言えば、普段から話しかけてよかったと思えるリアクションをする上司には、トラブルになる前に相談してみようという気になります。が、普段から感じの悪い反応の上司にはできる限り話しかけたくないですよね。
だから、トラブルがだいぶ炎上してから「嫌だけど話さないと収拾できないな…」となってから嫌々相談…なんてことに。
これは上司部下だけでなく、身近な関係でもそうですね。
家族や親しい間柄で、「何でもっと早く言ってくれなかったの!?」なんて相手を責める前に、自分の最初のリアクションを振り返ってみたいものです。
この「返事をする+相手を見る」というのは単純ですが、あなたのことを大事にしている、あなたの声が聞こえているよと言外に伝える表現方法の1つなんです。
会話ってどちらかの呼びかけをキャッチしてから始まるので、この受け止めは大切です。その後、(2)や(3)につなげていきましょう。
(2)話したい気持ちにも「旬」がある
こちらが何かしているときに相手が話しかけてくる…。きっとそのことは、相手も頭のどこかで理解しています。でも、それ以上に「話したい」という気持ちが勝るわけです。「いま、この人にこの話をしたい!」と話したい気持ちがピークになって話しかけるんですね。
そのピークのときに聴くと、相手の気持ちも満たされ、会話の満足度もグッと上がります。
すごくお腹が空いているときに、美味しい料理を食べられたらとっても幸せな気持ちになりませんか?それと同じようなことだと私は思っています(笑)
しかも、この話したいピークを迎えて話すというパターンは、案外早く終わることも多いように感じています。
私はもともと「ながら聴き」をよくしていましたが、相手が話しかけてきたときに手を止めて聴いても、それほど大した時間にはならないことに気づきました。長くても10分、短かったら1~2分くらいです。
だから、状況と自分の状態が許すのであれば、ちょっと手を止めて聴いてみてください。
せいぜい10分程度の時間を相手のために使うだけで、関係性の質がアップします。ささやかな話題の共有でも、相手の「聴いてもらった♪」という満足感や安心感は大きいんですよ。
(3)あとで聴いてもOK、ただしいきなり「あとで」は心をくじく
思いのほか話が長引いて聴けなくなることもありますよね。聴くというのは、こちらの準備が整っていてできること。
だから、こちらの状態を一旦保留にして“聴くモード”に入れないときには、そのことを相手に伝えてもOKです。
だけど、いきなり「いま忙しいから!あとで!」と言ってしまうと、相手もしゅん…となってしまいます。特に、話したいというピークで話しかけていたら、その反動は大きいものに。
多くの場合(1)の対応をすると、相手が冒頭部分を話し始めます。「今日買い物にいったらね…」「○○と遊んだんだけど…」「いまテレビでやってて…」という具合に。
そしたら、その冒頭部分までを聴き、受け止めて、続きはあとで聴かせてほしいと頼んでみます。
「そっか、○○だったんだね!これが終わってから続きを聴くから待っててくれる?」
伝え方は状況により色々あると思いますが、また相手との会話を楽しく再開できるような伝え方ができるといいですね。
そうは言っても「ながら聴き」しちゃったときは…
「ねぇ聴いてる!?」とか「ちゃんと聴いてんの!?」なんて相手から突っ込まれるということは、残念ながら聴けてないときです。この時点で「ながら聴きしちゃった!」と思えるということは、自覚があるということ。まずはそれでOKとしましょう。気づくことが第一歩です。
大切なのはその自覚したあと。
「やっちゃったな~」と思うと気まずい気持ちをごまかしたくなり、自分の行為を正当化したくなってきます。
「聞いてたよ!〇〇が〇〇になったんだろ?」という聞いてたアピールや、「仕方ないだろ!今これやってんだから!」と居直りをしたくなる気持ちはわかります。でも、それが炎上の火種です…。
誰だって、ついやってしまうことはあるんです。こうして偉そうに書いている私も同じ。
そんなときにできることは、これも超シンプルで「事実を認めて謝る」ことです。
「ちゃんと聴いてなかった、ごめん」
できることはこれだけです。こちらの誠意を示すこと。
そのあと、「もう一度話してくれる?」や「今は難しいからこれが終わったら聴かせてくれる?」と改めて会話をしたいという気持ちを伝えてみるのも1つです。
でも、相手が「もういい!」と会話を切り上げてしまうこともあります。それはそれで仕方のないこと。こちらの要望を相手が受け取ってくれるかはまた別の話ですから。
聴いていなかったことを謝って誠意を示す。これが次回の会話への種まきです。
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少し長くなってきたので、続きは次回。
次回は、そもそも「ながら聴き」をしないようにするには?という点から、予防策や自分から少しずつ変えていけることをまとめてみたいと思います。